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ミャンマーで日本からの譲渡車両に出会う ~ミャンマー国鉄ヤンゴン中央駅を散策しよう~

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ミャンマーへ出かけていたある日、ヤンゴン中央駅の辺りを散歩していた。それまでヤンゴンの鉄道は乗車したことがなかったが、なんとなく駅の活気にひかれてプラットフォームへ行ってみると日本の車両が駅に停まっている。聞くと2004年くらいから継続的に古くなった車両をミャンマーへ譲渡しているのだという。

観光地巡りも良いが、日本の国際貢献を間近で見られるのは興味深い。この記事ではヤンゴン観光の1つのアクティビティとしてヤンゴン中央駅を紹介したい。

 

ミャンマー・ヤンゴン中央駅

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 ヤンゴン中央駅の場所は以下の地図のとおり。ヤンゴンの中心部に滞在していれば歩いていくことが出来る。また、中心部から遠くに滞在している場合はハイヤーやタクシーで行くことになるが、駅には駐車スペースがあるので車で行っても全く問題ない。

 

 

電車ではなく、すべて「気動車」

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ヤンゴンはミャンマーにおける第一の都市だが「電車」は走っていない。架線がないのだ。ヤンゴンを走る鉄道はすべて「気動車」(ディーゼル車)となっている。2004年くらいから譲渡をしているそうだが、本格的に譲渡が始まったのは2013年だという。JRや私鉄などで古くなった車両が海を越えて走っている。気動車なので日本の都心ではあまり見ない車両が多い。僕からすると、日本の懐かしい風景にミャンマーのヤンゴンであってしまった。そんな気持ちにさせてくれる。

 

ヤンゴン中央駅で乗客とふれあい

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ヤンゴン中央駅は日本でいえば東京駅といってもいいだろう。しかし、小ぢんまりとしている。日本の田舎の少し大きな駅といった具合。ヤンゴンは環状に線路があり、30分おきくらいに走っているそうだ。ミャンマー人の友人曰く、山手線と。しかし、東京の山手線とは違い、距離にすると46kmほどだが、1周するのに3時間程度かかる。のんびりと走っているのだ。駅での停車時間も長く、僕が電車に近づいていくと出発待ちをしている乗客が手を振ってくれた。

せっかくなので乗客に話を聞いてみた。日本の電車だと知っているか、乗り心地はどうか、など。日本の電車ということは知っているとのこと。日本の国旗が車体に貼ってあったり、車内には日本語がそのまま残っているので分かるのだろう。また、乗り心地については問題なさそうな回答であった。この他にもどこへ行くのか、荷物を持っている人に何を売りに行くのかなど訪ねて楽しい時間を過ごした。

 

写真を撮ると妙に様になる

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僕は写真撮影が好きなのでヤンゴン中央駅でバシャバシャと写真を撮っていた。日本の駅でここまでたくさんの写真を撮影したことはないと思う。記録として乗り物の写真を撮ることはあるが、構図などを考えて撮影したことがなかったので楽しかった。中央駅というのにすぐそこには緑があり、哀愁漂う車両が走ってくる。乗り物好きの方には絶好の撮影ポイントかもしれない。しかし、写真に集中し過ぎるあまり、現地の方の邪魔にはならないようにくれぐれも注意したい。

 

譲渡車両を増やしている理由

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僕は以前、鉄道を含むインフラを海外で作っている会社にいたので、最後に少し真面目なお話を。

日本がミャンマーに対して譲渡した車両は約300両。これほど多くの車両を譲渡しているのはただ単に国際貢献の側面からのみでは無いことはお分かりだろう。国際貢献であれば他の国や地域にも同じように送っているはずだし、300両というのは少々数が多すぎやしないか。ここには日本のインフラ輸出の戦略が隠されているのだ。

 

将来のインフラ輸出に貢献

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鉄道には様々な技術が使われている。線路や駅には土木建築、車両には機械工学、信号には電気工学などだ。先進国では扱える技術であるが、途上国で扱うには非常に難しい技術ともいえる。ポイントはこれらをメンテナンスしていかなければならないところだ。

技術を教育する学校は無いし、メンテナンスする施設もない。日本から技術者が派遣されてミャンマーの方々に技術やメンテナンス手法を伝えていると聞く。云わば、実際の車両を通して技術に触れているのだ。

鉄道の技術や設計の考え方は日本と欧米とでは異なる。新幹線でも「日本式」「欧米式」という言葉を聞いたことのある方もいらっしゃるだろう。日本からの譲渡車をメンテナンスして、ミャンマーの人たちがスキルを身に着けていけば、近い将来、車両を更新する際に日本式が求められるはずである。インフラ輸出ビジネスはこういったところから始まっているのだ。

 

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ミャンマー・ヤンゴン中央駅で懐かしい電車を見ながら、日本とミャンマーの将来を思う。観光しようとして思わず仕事を思い出してしまった。しかし、ヤンゴン中央駅が非常に興味深いスポットであることは間違いない。皆さんもヤンゴンを訪れた際には是非ヤンゴン中央駅へ足を運んでほしい。